同業グルメ

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「同業グルメ」は、これからの新しい飲食店探しを目指します

中村仁

中村仁 責任編集

株式会社トレタ 代表取締役
株式会社グレイス オーナー

同業グルメは、特別に選ばれた飲食店経営者だけが記事を書ける、飲食店のグルメレビューサイトです。 少し長くなりますが、なぜこんなものを作ったのかをお話ししたいと思います。

グルメサイトにも「ニッチ化」の時代が来る

外食がどんどんニッチ化していることは、皆さんも感じていると思います。

かつては「みんなが好きなもの」を出せば繁盛した時代がありました。しかし今は、価値観が多様化し、食の好みも驚くほど細分化・高度化しています。スパイスカレーに魂を捧げた人、お肉の焼き入れに尋常ではないこだわりを持つ人、健康上の理由からグルテンフリーを実践している人、卒アルしてノンアルペアリングを楽しみたい人。そういう「特定のニーズやこだわりを持った人たち」が、確実に増えています。

それと同時に、グルメ情報の利用の仕方も変わってきました。

不特定多数のユーザーが書いたレビューを集計し、平均点で飲食店を序列化する。そのアプローチは、「みんながそれなりに好きなもの」を見つけるには有効でした。イエローページ的に全ての飲食店情報が集まる場としても、今なお大きな社会的意義があります。

でも、「自分だけの一軒」を探したいと思ったとき、その仕組みにはどうしても限界があります。自分の嗜好が細分化・高度化すればするほど、大多数の平均値からは遠ざかっていくからです。

では、どんな情報なら信頼できるのでしょう。たとえば、僕だったらこんなサービスがあったら読んでみたいと思いました。

カレー屋のオーナーが「あそこのカレーは本当にすごい」と教えてくれる。とんかつ屋を経営している人が「あの店のとんかつは本物だ」と言う。そんな情報なら読んでみたいと思うし、多分行ってみたいと思うでしょう。その道を生業とするプロが、ある意味ではライバルでもある店を前にして「ここはすごい」と認める。それが、最も信頼に足る飲食店評価だと思うのです。

ところが、既存のグルメサイトの仕組みでは、そういった声は大勢の声にかき消されてしまいます。どんなに深い知見や鋭い洞察を持つ経営者が書いたとしても、点数の集計の前では一票に過ぎません。

飲食店経営者の視点は、なぜ特別なのか

飲食店をやっていると、いろんな人たちから「いいお店があったら教えてください」と聞かれます。何ならトレタ社内でもしょっちゅう聞かれます。おそらくこれは、僕だけの話ではないはずです。みんな「飲食店経営者のおすすめ」を知りたいんですよね。

なぜか。経営者には、お店をやっている側にしか見えない景色があるからだと思います。食材の目利き、目に見えない仕込みの手間、スタッフの動き、空間設計の意図、価格設定の哲学。経営者は、顧客として席に座りながら、その全てを同時に読んでいます。「この料理のコスパはすごい」「この接客品質はどうやって実現しているのか」「このメニュー構成の意図はなにか」「このお店はどう楽しんでほしいと考えているのか」。そういう読み方を、無意識にしてしまうのが経営者というものです。

これは、飲食店評論家の視点とも本質的に違います。

食のプロとして「食べる側」を極めた評論家の言葉には、一般の人に対するドヤ感が滲み出ることがあります。それはそれで一つの価値なのですが、「作る側」の人間がどう見るか、は全く別の話です。経営者の目線は、もっと泥臭くて、もっと当事者的です。「なぜこの店はこういう選択をしているのか」「ここに込められた経営者の意図は何か」。そういう問いを自然と持ちながら、同じ志を持つ仲間として、リスペクトを持って語る。そういう視点は、評論家も、不特定多数のクチコミも、決して持ち得ないものだと思っています。

だから、そのプロたちの声だけを集めたサービスを作ることにしました。それが「同業グルメ」です。その名の通り、飲食業界の人たちが同業のお店をレビューする、というのがこのサービスのコンセプトです。

「書くのが大変」という最大の壁を、AIで超える

サービスの構造はシンプルです。飲食店経営者が、自分が訪れた他のお店のレビュー記事を書き、それを広く一般の人向けに公開します。ライターは招待制で、僕が「この人がおすすめするお店を知りたい」と思える経営者の方にだけお声がけしています。

でも、ここに大きな壁がありました。「飲食店の経営者に記事を書いてもらう」という壁です。

SNSが普及した今でも、まとまった記事を日常的に書いている飲食店経営者は、ほとんどいません。現場を回しながら記事を書くというのは、想像以上に大変なことです。僕自身、トレタの経営に責任を持ちながら、訪問したお店について丁寧に記事を書くなんて時間なんてそう簡単には確保できません。

そこで、このサービスにはAIによる執筆支援を組み込みました。

ライターである経営者の方は、お店を訪れて感じたことや気づいたことを、断片的なメモとして書くだけでいい。「スープが旨い」「食材の目利きが凄い」「あの焼き加減は真似できない」「先回りしてくれる接客が気持ちいい」。そういった断片を記事投稿画面に入力すると、AIがそれを読みやすいレビュー記事に仕立ててくれます。

ライターごとに文体の好みも細かくカスタマイズできるので、「自分らしい文章」として仕上げることもできます。

さらに写真を投稿すれば、AIが写真の内容を判定し、記事の中で最もフィットする場所に自動配置することまでやってくれます。

実際にテストに参加してくれたあるオーナーさんは、この機能を使ってわずか30分で4本の記事を書いてくれました。執筆体験が根本的に変わった、ということだと思います。

「リスペクト」だけが流通するメディア

「同業グルメ」に掲載されるのは、経営者が「このお店はすごい」と思ったお店だけです。

イマイチだったお店のことは書きません。というか書く必然性がありません。経営者の方には、自分がリスペクトするお店だけを紹介してもらいます。つまり、このサイトに掲載されているお店は、全て「いいお店」です。

ポジティブな評価だけが流通するメディア、という言い方もできます。既存のクチコミには、どうしても不満のはけ口的な使われ方をするものが混じります。でも「同業グルメ」では、その種の記事は構造的に生まれません。経営者が、自分が認めたお店についてだけ筆を執る。そういう設計だからです。

しかも、記事を書く経営者は実名です。

実名で書くということは、自分の信用をかけて書くということ。「あのお店を推薦したのは誰か」が明確になる。これが記事の担保になります。匿名のクチコミにはどうしても生まれてしまう「誰が言ったかわからない」という問題が、ここでは原理的に発生しません。

そしてその先に僕が目指すものはなにかというと、共感によるお店選びです。

飲食店の経営者が書くレビューには、必ずその人の価値観が滲み出ます。「素材の誠実さ」を大切にする経営者は、同じ価値観を持つお店を推すでしょう。「空間の美意識」を重視する経営者は、同じ感度のお店を紹介するはずです。紹介されるお店は、紹介した経営者の価値観の鏡でもあるわけです。

読者にとっては、気に入ったレビューを書いている経営者のお店にも、自然と興味が湧いてくる。そういう導線が生まれます。結果として、高い志を持ったお店が集まり、その価値観に共鳴するお客さまが集まってくる。レビューを書く経営者にとっても、読者にとっても、紹介されるお店にとっても、いい循環が生まれる。そういう場所を作りたい、というのがこのサービスの核心です。

このサービスが、飲食店とお客さまとの素敵な出会いを一つでも多く増やすことができますように。飲食店のみなさんと、そしてそこを訪れるお客さまと、みんなで一緒にこのサイトを育てていけたらと願っています。

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